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「自制心を育てること」


我が子に身につけてほしい大事な力の一つとして、「自制心」があります。これはただ「やってはいけないことを我慢する力」ではなく、「将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力」でもあります。そう聞くとちょっと難しいかもしれませんが、このことをとてもよく表している実験が、40年ほど前のスタンフォード大学で行われました。

それは、「マシュマロ実験」と言われているものです。

まず4歳児の前にマシュマロを乗せた皿を置き、「自分は今から用事があるからいなくなるけど、私が戻るまでこのマシュマロを食べるのを我慢できたら、もうひとつあげる。でも食べてしまったら二つ目はなしだよ。」と言って、実験者は部屋を出ます。

4歳は保育園幼稚園で言えば年少さん相当ですから、食べずに我慢できた子たちの方が少ないのはなんとなく想像できます。しかし、結局1個目を食べずに15分我慢し、2個目を手にいれたのは全体の3分の1ほどいました。我慢できた子たちは、後ろを向いたり目をふさいだりと、マシュマロから気をそらそうと努力していることが多かったということでした。こうして、「食べないように自分をコントロールする力」が備わった子たちは、後の追跡調査により「学力が高い」「集中力が高い」ということもわかりました。

自制心を育てることが、学力が高くて集中力のある子を育てることになる、というのはわかりました。では、自制心はどうやって育てられるのでしょうか。

赤ちゃんのうちは、欲求が満たされることで安心感が得られます。しかし成長するにつれ、「これが欲しいと思ったらすぐ手に入る」「嫌だと思ったらすぐ避ける」という状況だけでは成長がないことに親は気付きます。そこで、このマシュマロ実験のような「先にある楽しみ」のようなものを設定するようになります。「あれが欲しい!」「じゃあ今度の誕生日プレゼントね」とか「サンタさんにお願いしたら?」など。また、「片付けを一回やったらシール1枚。シールを10枚集めたら買ってあげるよ。」などのごほうび制度。こうして自然と親は自制心を育てているのです。

また、家庭の中でルール作りをしっかりしておくことは、子どもにとっても親にとってもストレスが少なくてすみます。子どもが何かした後で「それはダメ!」と禁止するより、あらかじめ「これはしないでおこうね」と取り決めがあれば、自制心を育てることにもつながります。できなかった時も「ルールはどうなっていたっけ?」と気付かせるようにすれば、ただガミガミ怒らなくてすみます。

今は欲しいと思ったものはすぐネットショップで注文して即日配達されたり、24時間空いているお店があったりと、「欲しいけどすぐ手に入らない」状況が減ってきました。大人でさえ、だんだん「待つ」ことが減ってきたように思えます。

だからこそ、「すぐには手に入らないこと」を「楽しみがこの先に待っている」と考えられるような力が必要になってきたのかもしれませんね。

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