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「言いたいことが言えない苦しさを歌った歌 <ぼくのお日さま> 」


カウンセラー佐々木です。今回は音楽についてお話しさせて下さい。

 学生の頃より趣味でバンド活動をしており、音楽についてのアンテナはいつも高い私ですが、最近はインターネットの普及により、音楽やそれにまつわる動画などに触れる機会が増えましたね。情報量が増えれば増えるほど、生み出されてきた音楽の多様さに驚かされます。

 しかし、そんな世の中に溢れる音楽の中には、自分自身が抱えている問題にヒントをくれたり、不安を和らげてくれたり、知らなかった世界を教えてくれるようなものがあります。

 最近ハンバートハンバートという夫婦デュオを知り、この方達の生み出す音楽の魅力に惹きつけられました。カントリーミュージックやフォークといったベースを持ち、ご主人の弾くアコースティックギターに、奥様の優しい歌声がとてもよく調和していて、カバーする曲も昭和なものからアイリッシュなものまで、なんでもうまく夫婦のカラーに変えてしまう素敵なデュオです。

 そのハンバートハンバートのオリジナル曲で、「ぼくのお日さま」という歌があります。

 歌い出しは「ぼくはことばが うまく言えない」で始まり、「はじめの音でつっかえてしまう」と続きます。そう、話したいことをうまく話せない(吃音)もどかしい思いを持つ人の気持ちを代弁している歌なのです。

ぼくはことばがうまく言えないはじめの音でつっかえてしまう

だいじなことを言おうとするとこここことばがののののどにつまる

こみあげる気持ちでぼくの胸はもうつぶれそう

嫌いなときはノーと好きなら好きと言えたら

頭にきてもことばがでないくくくくたばれこれじゃ勝てないね

家に帰ればロックが僕を待っててくれるボリューム上げるよ

歌ならいつだってこんなに簡単に言えるけど

世の中歌のような夢のようなことじゃない

一言も言えないでぼくは今日もただ笑ってる

嫌いなときはノーと好きなら好きと言えたら

こみあげる気持ちでぼくの胸はもうつぶれそう

泣きたきゃ泣けばいいさそう歌がぼくに言う

 初めてこの曲を聴いた時、心をぎゅっとわしづかみされたような気持ちになりました。メロディーはキャッチーでコード展開もそれほど目新しい感じではありませんが、夫婦の息の合ったハーモニーに心が癒されます。また、切なくて苦しいのに希望の予感もあってホッとします。

 聴いていると、過去に関わったいろんな子の顔が浮かびました。イエスやノーの意思表示もやっとの子や、人前で話すことに極度の緊張を感じる子。固く閉ざした表情の下に隠された繊細な心は、きっとこんなことを感じていたのかもしれないと思った時、「こみあげる気持ちでぼくの胸はもうつぶれそう」とあるように、彼らが言いたいことをうまく言えない悔しさやもどかしさで、心が壊れてしまいそうになっていたのかもしれないと気付きました。

 このような思いを持つ大人も子供も、自分を無価値だと思うことなく、したいと思うことを実現させていってほしいと心から願わずにはいられません。

 そして、歌としてでも、別の形としてでも、何かしら表現することを見つけ出せるお手伝いができたらいいなと思っています。

 こちらでは吃音の専門的な言語療法は行っていませんが、「気持ちを表現する」ためのソーシャルスキルトレーニングをグループで行う予定で、ただいま準備中です。

「言いたいのにうまく言えず、つい手が出てしまう」などの問題を抱えたお子さんへの効果的な支援を考えています。みなさんにきちんとした形でお知らせできる日まで、もう少しお待ちください。

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